森アートミュージアム(MAM)

今回の訪都の主たる目的である森アートミュージアムへ。今回開催されているオープニング企画「ハピネス」は「アルカディア」「ニルヴァ―ナ」「デザイア」「ハーモニー」といった四つのテーマに応じて、古今東西問わない幅広い作品展示を行っている。はっきりいって物凄く質の高い展覧会。館長のデヴィット・エリオット氏が言うところの「知的エンターテイメント」を見事実践しているといってよい。
何が質が高いって、まず、各作品が展覧会の一構成要素として確固として機能している。即ちその作品がその順番で其処にあることに必然性が有るという点。もちろん主催者があらゆる所で口にしているように、「好きに見ればよい」のだけれどもそれに甘えて単なる作品の集合体になってしまうことは無い。そしてもう一つに飽きさせない展示をしていること。遊び心を随所に取り入れることもさることながら、展示されている作品群の豊富さを最大限に活用、かつ見るだけではない参加型のインスタレーションを随所に取り入れることその他様々な手を尽くして、かなり多い諸作品を巧く見せている。実際2時間ちょっと全て見るのにかかりました。
はっきり言ってぼくがこれまで見た展覧会の中で最も質が高いといっても過言ではないです。といっても比較対照は国内ですが。展覧会という表現手段でここまで出来るとは正直思っても見なかった。もしかしたら、まだ少々ハイテンション気味の過大評価になっているかもしれませんが、今までに無い形の美術館、展覧会であることは確かです。
ただ課題を挙げるのであれば、一つはこの質をどこまで維持して行くことが出来るかという点。そして他の美術館へどれだけ影響を与えることが出来るか、と言う点。いずれにせよ、大阪=東京という距離はあれども今後とも目を離せない美術館であることは確か。