京都国立近代美術館で開催中の秋野不矩展を見てきた。俯瞰によって広い空間を大画面に描く手法は、風景画というよりはむしろ、地理学者の視点に近いかもしれない。それは複数の仏像を正面から描き、それらをフレームの中に並置する手法にも同様の態度が看取出来る。様々な事物を収集し標本化するような行為を思わせる。他にも仮面を正面から描きグリッド状に並べたりも。このような、調査的な態度で対象を描こうとしながらも、色味は淡く、輪郭線は決してはっきりはしていない。こうした相反するあり方が絵の中に混在している様がおもしろい。常設展にはアンセル・アダムス。