トーク・セッション盆栽 その後

トーク・セッション盆栽、ご来場くださった方、本当にありがとうございました。盆栽を取り上げたうえで、それを軸に各時代の文化論へと展開していくことの可能性が提示できたと思います。もっと深めることができる点も多々あったと思いますが、そこは反省点として今後生かしていきたいと思います。

今回は、前半部で盆栽の基礎的な知識と歴史を概説したうえで、後半部で工芸や絵画、あるいは美術制度といった近接領域に目配せしつつ、より多角的に盆栽について考える、といった構成だった。唐時代の盆景を起源とする盆栽が日本に入ってきたと言われる平安時代から、江戸期における園芸ブーム、明治期における盆栽の様式化を経て、現代の盆栽、ならびに海外におけるアートとしてのBONSAIブームまで、といった時代的・地域的に極めて広い射程を持つ議論が展開された。それゆえ、その都度提示される具体的な論点を十分に掘り下げ展開することが出来なかったというのは反省点としてある。しかし、その一方で、盆栽研究という未開の研究領域が切り開かれ、他領域の人達を巻き込みながら、古今東西あらゆる局面へと議論が展開されていくという過程を当事者として体感することができ、高揚感を覚えたこともまた確かだった。それもひとえに積極的に議論に参加して下さった来場者の皆さまのお陰です。ちなみに、 @さんがツイッターでの関連ツイートを纏めてくださっていますので、こちらもご参照ください。盆栽-Togetter(追記:トーク・セッションとは無関係なツイートも混ざっています)。
さて、今回来れなかったけど盆栽について知りたいと言う方の為に、参考文献を二冊ほど。盆栽研究者である川崎さんお勧めの二冊。

盆栽 (NHK美の壺)

盆栽 (NHK美の壺)


こちらの方が簡単で短くすぐ読めます。本当にポイントだけを抑えただけ、といった感じ。歴史に関する記述が乏しいので、トークを聞いて下さった方にはもしかしたらちょっと物足りないかもしれません。
盆栽 癒しの小宇宙 (とんぼの本)

盆栽 癒しの小宇宙 (とんぼの本)


こちらは、もともと『芸術新潮』での盆栽特集号を改めて一冊の本にまとめたもの。僕は本書は持っておらず。もともとの『芸術新潮』を持っているだけなので、もしかしたら内容に変化があるかもしれませんが、歴史を含めある程度詳しく書かれていますので、教科書としてお勧めです。