総合演習

月に一度の総合演習。質疑含めて45分の発表を五本。芦雪中期、南紀時代の襖絵における空間のゆがみの話を聞き、鈴木松年の歴史画の独自性を聞き、シエナ美術の幻想性に耳を傾け、クラウスによるバタイユ「不定形」理解について聴き、最後に芦雪の晩年期における洒脱さの話で締める。芦雪で始まり芦雪で締める。作品を扱う場合、何を言うにしてもそれを作品の上で説明できないと意味が無い。作品分析は筋トレみたいなもので、継続的に繰り返し鍛えていないと駄目。卓越した作品分析・記述は、一つの技術。ところで、今日発表で聞いた長澤芦雪の作品も展示されているプライスコレクション展が京都近代美術館で開催されており、東京展に加えて盛況なようだ。プライスコレクションと言えば、伊藤若冲が有名だが、Amazonで次のようなコメントがある。
Amazon.co.jp: もっと知りたい伊藤若冲―生涯と作品 (ABCアート・ビギナーズ・コレクション): 佐藤 康宏: 本
話題となっている≪鳥獣花木図屏風≫は、はてなの「若冲と江戸絵画」展 公式ブログのフォトライフに画像がアップされている。
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真偽のほどは僕にはわからないが、確かに、他の若冲筆の絵と比較してみたとき、随分と異なった印象を受ける。若冲独特の微細な描写はこの屏風には見られない。ちなみに今日の演習、最後の発表、芦雪による≪白像黒牛図屏風≫もプライスコレクションの一つ。
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左隻と右隻で、白と黒、大小が対比的に描かれたこの作品は、今回の発表に即して言えば、神仏的イメージである像と牛を俗的なイメージへと見立てている。ただ、芦雪の師匠である丸山応挙の絵から引き継がれた子犬があまりにも可愛い。