写研

昨日は久しぶりの写真研究会。今回は写真に興味を持っている幾人かに声をかけてみたのだけれど、来て頂けてよかった。今回の研究発表は二つ。

  1. 雑誌『ドキュマン』のテクストとイメージについて――1930年代における雑誌の編集方法
  2. 肖像写真と流通空間――営業写真と芸術写真に見る若者イメージ

前者は、雑誌『ドキュマン』と同時代の他雑誌のとの比較、編集長であるバタイユの視点・社会的状況を考察することで、『ドキュマン』におけるレイアウトの「混乱」を指摘しようと言うもの。個人的にはもっと写真そのものを読む必要性を感じた。屠殺場写真に関して言いうならば、近代化された都市から隔離された屠殺場という「現実」を「暴露」する、といういわゆる「ドキュメンタリー写真」として使用されている。その一方で――質疑にも出てきたけれど――アルベルト・レンガー=パッチュの≪世界は美しい≫(1928年)という極端なアングルやクローズアップを多用した写真がある。芸術写真ではない写真の「本質」を模索する二つのあり方がここにはある。
後者は、社会的存在としてのポートレイトから、個人――被写体や撮影者――の内面表出への変化を大正期の肖像写真を中心に考察したもの。写真の記述方法が非常にためになった。ただ、話が少しわかりやすすぎると言うか、素直すぎる印象を受けてしまった。「わかりやすい話には落とし穴がある」という先生の言葉が頭をよぎるのだけど、まだその落とし穴を発見できるだけの能力が無いのが歯がゆい。