弱虫でも良い!

ところで、『ハウルの動く城』ですが、昨日バイト特権で一足お先に見てまいりました。内容に触れるようなことは書かないようにしますが、『千と千尋の神隠し』に続き多数のお客様がご来場されそうです。あ、でもやっぱり内容的なものにはちょっと触れます。なるべく具体的な事は書かないようにしますが、気にする方はさささっと読み流すなりして下さい。
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で、どうだったかというと、思ってたよりも良かったです。というかあまり期待していなかったからでしょうけど。ちなみに木村拓哉の声優っぷりが懸念されていましたが、彼のフワフワした感じが、ハウルの軽薄な感じに良い意味で合っていたような気がします。もちろん彼の台詞だけに意識を集中させれば違和感はあるかもしれませんが、はっきり言って台詞は少なかったので。スチームボーイ同様、ハウルもいわゆる『近代』という時代を世界として採用しているのですが、ただ、ハウルとソフィーの関係という「小さな世界」に焦点を絞りすぎていて――上映時間の関係もあるようですが――それが舞台とする「(近代的な)大きな世界」というのが放置されてしまっっているという印象は否めませんでした。ハウルとソフィーの関係の変化と、それに伴う彼らの内面の変化、及びそれを視覚的に表現すること、それに終始しています。
といっても物語が本格的に展開していくのは最後の30分だけ。しかも前述したような二人の内面的な部分が主です。「大きな世界」の物語に関しては尻切れトンボ状態で、キーとなる人物に結末として「ハッピーエンドね」と言わせて纏めてしまう始末。そもそも国と国の関係とかその距離感とか、争いが起こるその顛末というのは省かれ、ある種の「近代→機械化→力→戦争」という発想に頼っている部分があるのかもしれません。
それにしても既視感たっぷりの映画です。表現的にはネタ切れなのではないでしょうか。どっかで見たシーンばっかりです。内容にしても「最近の子供たちに対するおじいちゃんからの苦言」というべき『千と千尋の神隠し』を髣髴とさせるようなもの。登場人物にしても千尋とハクの関係はハウルとソフィーの関係と同じ、とも言えるかも知れません。千尋が最終的にカオナシを含めた皆が千尋と愉快な仲間たちに収まったのと同じように、「ハウルの動く城」に関しても結局はソフィーとハウルの愉快な仲間たちに集約されていきますし。
といっても別にそんなこと考えずにジブリを楽しみたい人には、既視感ゆえの安心感といっても良い、裏切らなさが全体を覆っているので、十分楽しむことが出来ると思います。
っていうかジブリマニエリスムですわ、この映画。<結論