STEAM BOY

その帰りにやっと見てきました。スチームボーイ

舞台は19世紀イギリス。蒸気機関が産業を支配し始めていた時代。そこに科学の進歩と人類の欲望を具現した“驚異の発明”が生み出されようとしていた。
発明一家のスチム家に生まれた少年レイは、ある日、祖父ロイドから謎の金属ボールを託される。その瞬間から、レイは恐るべき陰謀と冒険に巻き込まれていくのだった。この金属の球体こそ、空前絶後のエネルギーを持つ驚異の発明=スチームボールであった。この大発明は「幸せをもたらす奇跡」なのか、それとも「悪魔の発明」なのか……。 スチームボールを狙う強大な組織の執拗な追撃、科学に対する理想の違いから反目しあうレイの父エディと祖父ロイドの葛藤、そしてレイの前に現れた大富豪の令嬢スカーレット。様々な人物が交錯し、物語は未曾有のラストに向って加速していく!

祖父の思想、父の思想、その周りの大人たちの思想に振り回されそうになりながらも、未来をあきらめず猪突猛進振りを発揮してくれる少年レイを主人公とする物語。物語の前半から最後まで休むことなく失踪し続ける物語は、やや疲労を伴うが、クオリティはさすがに高い。しかし、大友克洋の最新作という否が応にも高まる期待を満足させるか!?といえば決してそう言い切る事は出来ないでしょう。少なくとも、スチームボーイを楽しみにしている人はこの春に公開されたイノセンスも当然見ているでしょうし、やはり9年という制作期間は長すぎたのでしょうか。個人的には「狂った感」の強いイノセンスのほうが好きです。もちろん比べるのも変なのは承知の上ですが…。ラストの遊園地のところとかももっと狂った感じでガシガシやって欲しかった。もったいない。。。もっともっとぉお!と叫びそうになりました。ただ、遊園地を含む物語終盤の一連の崩壊シーンは素晴らしいです。あれは映画館で見るべきもの。陰の主役とも言える蒸気はさすがに畠山直哉氏の「atomos」の存在感には及びませんでした。これも比べるのは変なのは承知ですが。