童暦:植田正治

最近は研究室の雑務に追われていて、研究室に常駐状態。先日、たまたま便利堂【株式会社 便利堂】の方が先生を訪問されているところに出くわした。新しい作品を持ってきておられて見せていただいた。植田正治の1955年〜1970年代あたりに撮影されたシリーズ、《童暦》をコロタイプ印刷*1で摺りなおしたもの。いうなれば複製の複製。けれども、コロタイプ印刷の工程は、撮影、製版、摺りと段階を踏む。それゆえ、今回見せていただいた12点の作品は、「植田正治の写真」というよりも、さまざまな職人が腕を振るった合作といった様相を見せる。その制作プロセスを考えれば浮世絵とよく似ている。コロタイプで摺りなおされた植田の写真は、滑らかで柔らかい諧調、質感、不思議な暖かみをもち、独特の風合いを見せる。便利堂の方もおっしゃっていたけれども、もともとの写真よりもいっそう味わいを増している。やっぱりそこにはアウラがある。フィルムが製造中止になるのに対応して、伝統的な印刷技術というものがクローズアップされる傾向にあるようだ。ちなみに、このコロタイプで印刷された植田のシリーズは、東京のギャラリーで展示されるとのこと。【TOSEI-SHA
ところで便利堂の方から、写真を勉強されているのなら、ということで是非見学に来てくださいとのお誘いを受けた。写真研究されている方以外でも一緒にどうですか??僕まで連絡下さい。

*1:[http://web.kyoto-inet.or.jp/people/artbooks/Korotaipu.htm:title]