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次号のテーマが「self/other」というもの。芸術(にこだわる訳ではないけど)表現における自己と他者。ここでいう自己というものは当然ながら流動的なもので決して普遍的に固定することは出来ない。こと芸術においても其処には「作者」「描かれる対象」「鑑賞者」「仲介者」etcと一つの表現に於いても様々な関わり方が存在するからである。今回僕が取り上げてみたいのが「プリクラ」。例えばいわゆるセルフポートレートが撮影する「自己」と写される「自己」と自らがある種分裂してしまうという緊張感において成り立つのに対して「プリクラ」という装置はその分裂の緊張感なしにして自らの姿を写すことが出来る機械なわけ。言い換えるのならば撮影者と被写体が同時にディスプレイの前に存在できるという状態。このような機械が街中に溢れている現在セルフポートレートという表現方法はその分裂的緊張感を過度に高めていく他に道は無いのかもしれない。韓国の写真家パク・ヨンスクであったり澤田知子であったり。むしろその分裂的なギャップの大きさにこそセルフポートレイトという手法の可能性を秘めていると考えられはしないか。