視聴文研シンポ「オムレツが冷める前に(仮)」

視聴覚文化研究会(id:avcs)について、6月3日から4日かけて議論――現在は「研究者の卵・殻・オムレツ」にまとめられています――が行われたわけです。で、せっかくなので、6月23日に、あの議論のパート2をどこか教室をかりてちょっとしたシンポジウムみたいな形でやろうではないかと、内内で話が進んでいます。また、詳細が決まりましたら、各ブログや研究会のサイトで告知します。
ただし、あの議論を単に延長していくのは少々まとまりに欠けてしまうのではないか、との懸念もあります。具体的にどのようにシンポジウムを進めていくのか、何か議題を立てるのか、パネラーを設定するのか、あるいは何もなく全体でガチンコで議論するのか。いろいろ決めることがあります。せっかくなので、決定までの過程も公開しちゃおうと。シンポジウム開催、つまり、視聴文研論Ver2.0にいたるまでのVer1.5の段階として、各人のブログで先日の議論のまとめとシンポジウムに向けての課題とか具体的な点を議論していきたいと思います。
とりあえず口火として簡潔に枠組みだけ設定しておきます。件の議題を抽出すると、「研究って何の意味があんの?視聴覚文化研究会って自己満じゃねぇの?」ということだったのではないでしょうか。この問いかけに対する返答は、「視聴覚文化研究会は自己満じゃないよ」という返答(川本さん、ありがとうございます)と、「研究の意味」を訴えるものの二種類あります。後者が主だった返答となり議論となったわけですが、この問いに対する返答には、発言する際のコミュニティーに応じていくつか段階が設定できると考えています。とりあえず大まかに三つに分類してみます。

  1. 何故自分がそれを研究しているのか、という極私的な段階――この点からid:shirimeさんは議論を始めようとしてらっしゃいました。
  2. 各学問領域の研究意義。例えば、美学という領域においての自分の研究の意義、あるいは美学というもの事態の存在意義。この段階は、美学、美術史、芸術学というような包括的なものから、サルトル研究とか写真研究とか細かい分類にいたるまで様々あります。あるいは、それら既存の研究領域に対する視聴覚文化研究会の意味という切り方でも議論できると思います――id:yasuhamuさんとid:seventh-drunkerさんの初期の書き込みはこのレベル。
  3. よりマクロな始点として、(人文系)研究って何で必要なの?あるいは研究って何?という巨視的な段階――京大院生さんが「一般ピープル」という言葉で言いたかったことはこのレベルのことだったのではないでしょうか。特に、美学とか美術史とかに関わってる院生って、同窓会とかで自分がやってることの説明に窮することとか、それって結局趣味でしょ?という指摘に適当にごまかしたことがあると思います。そういう居心地の悪さみたいなものを真正面から議論することも必要でしょう。

もし、シンポジウムという形を取るのであれば、せっかくなので視聴覚文化研究(会)に閉じてしまってももったいない気がします。口火としての僕の提案事項としては、以上挙げたような段階的な議論がわかりやすいのではないか、と思います。最終的に「(人文系の)研究って何?」みたいな青臭いマクロな話を踏まえたうえで、個々人のレベルや事情が交わりあうというのが重要だし、シンポジウムである必然みたいなものも出てくるのじゃないでしょうか。以前東京の昆虫亀(id:conchucame)くんと話していたのだけれども、「真剣 院生 しゃべり場」みたいなことをする意味ってあると思います。とりあえず議論のたたき台として次のような引用を提案をしておきます。10代を「院生」に脳内変換してください。妙に今回の事態に合致している気がします。「約3ヶ月間限定のレギュラー」とかは無視。そこら辺は臨機応変に。

しゃべり場とは、10代が10代に向けて問題提起し、1つのテーマに対して多様な感性と価値観をぶつけあう真剣トークバトル(討論番組)である。今の10代はわからない……これは大人だけの嘆きではない。いまや同じ10代でも理解しがたい存在で、互いに偏見をもっている。「きっと話せば分かるのだが、その場がない」というのが今の10代である。そして、まさにその「場」をつくるのが、この番組である。スタジオには全国から集まった10代の少年少女10人。かれらは、約3ヶ月間限定のレギュラーとなり、毎回交代でそれぞれ「今一番みんなに聞きたいこと」を問いかける。ゲストには大人が1人参加するが、そのゲストも10代と同じ立場で話すのがルール。司会者なし、台本なし、結論なし! 安易に結論を求めるよりも、本音をぶつけあうことで新たなパワーを生み出す。それが「しゃべり場」である。

シンポジウムの冒頭で、「視聴覚文化研究(会)」というものの(不)必要性について何人かが発表というかコメントをしてもらって、それを踏まえたうえ(あるいは踏まえずに)で全体で「しゃべり場」っちゃうのが良いのではないでしょうか。つまり、先にあげた、1と2を何人かがコメントし、3に移る、という感じ。具体的に何についてコメントするかは各人に任せても良いし、決めても良いでしょう。あとシンポ名も募集。東京の「現代(の)美学を大いに盛り上げる人たちの団」に負けないの希望。
各人にidトラックバックは送っておきました。返答お願いします。あ、昆虫亀くんも成り行き上TBしたけど、もし良かったら絡んできてください。
※追記:「院生」でなくてももちろん参加してもらってかまいません。