Comical and Cynical

20070124042

大阪は天満橋、ドーンセンター(大阪府立総合女性センター)にて開催中の展覧会、コミカル&シニカル展を見てきました。写真は会場風景。撮影許可はいただきました。展覧会会場となっているのはドーンセンター地下に広がる今は使用されていないプール。バブル期に企画されたこの建物は以降の社会の流れの中で次第に使われなくなり、閉鎖された。美術館やギャラリーといったアートと場の制度的な慣習からプールという運動する為の場へとずらすことで、美術鑑賞という儀礼的な観賞者の身体の振る舞いに違和感を与える。真面目な顔で作品を見ていると、ふと自分がプールの底にいることに気がつき妙な気分になるという具合に。
ただ、実際にはプールというほどには広くなく、タイル張りの壁面には妙な意匠がが施されており、どこかしら銭湯でもあるような雰囲気を醸し出していた。その雰囲気をまさにジャクジー横に捕まえたのが佐伯慎亮さん。大きく引き伸ばされた「富士山」の写真が壁面を覆い、空間の銭湯感を増幅していました。ちなみにジャグジーの床はぼろぼろにはがれてた。
この展覧会は、プールという場を選択したことでバブルとそれ以降の財政難という問題系を背後に背負っているのですが、実際に作品を見てみるとその他にも実はシリアスな問題をテーマにしているものも少なくは無い。特に韓国の作家に多かったのだけれど、ジェンダーの問題、伝統と近代化、アメリカ軍の問題が透けて見える。もちろん日韓という国の関わり方等もテーマの一つとして語りうるべき視点だろう。けれども、コミカル&シニカルというタイトルが物語るように、実際に展示空間を統御しているのは「笑い」だ。それぞれの作品が背後に抱える社会的政治的な問題に「(笑)」をつける仕掛けが色々と施されている。
小さな泡の出るプール(の跡)の壁面をぐるりと取り囲むように、渡邊耕一さんの写真が展示されている。植物を低い視点から撮影したもので、プールに入って見ていると、茂みにもぐりこんだような感覚になるのだけれど、写真そのものがまた低いところに展示されている。佐伯慎亮さんのジャグジーといい、展示空間の中にまた、小さな展示空間としてプールがあるという不思議な空間が出来上がっている。プールサイドとプールという上下の関係が、ホワイトキューブ方の展示とはまったく異質な空間を演出していて面白い。こういった展示はいつも見れるわけではないので、是非見ておくべき。今月末まで。

「コミカル&シニカル」韓国と日本の現代写真/二人の女性ディレクターから見た一側面

  • 1/17(水)〜1/31(水)12:00ー20:00 月休館 
  • ドーンセンター地下プール跡
  • 入場料 300円
参加作家
  • 【日本】浅田政志、小松原緑、みとま文野、佐伯慎亮、渡邊耕一、池田朗子、山下豊、梅佳代
  • 【韓国】申恩京、波惹、嚴殷燮、金奎植、金東鈴、盧順澤、金華用、河惠貞

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大阪府立男女共同参画・青少年センター(ドーンセンター)::DawnCenter