決闘写真論

決闘写真論 (朝日文庫)

決闘写真論 (朝日文庫)


絶版なようだけれどもAmazonのユーズド経由で購入。そんなに高くなくて助かった。まだ読み始めたばかりなのだけれども、中平の写真論が面白い。はっきり言って、中平の論はベッヒャーであったり、土門の写真論に近い。つまり、簡単に言うと、どれだけ写真を「私」から「物」へとゆだねられるか、ということ。もちろん論そのもの鋭さは土門なんかと比にならないのだけれども。実は目指すところは土門と近い。しかし、土門と中平の写真は大きく異なる。そう暫定的に考えてみると、中間に位置する東松は凄く不思議なポジションにいる。同じVIVOの奈良原が言うパーソナルドキュメントという語が示すように、彼ら戦後派は、「主体としての写真家」へと写真をひきつける。それゆえ、東松のには主体の痕跡というべき写真が極めて多いのだ。