写真研究会
5月21日に開催された写真研究会。
- 戦前のアヴァンギャルド運動について−昭和初期を中心に−
id:lazywhite君による発表。1930年代の前衛芸術運動におけるシュルレアリスム受容について。特に写真に限定した発表ではなかったけれども、絵画作品と写真作品を等価に扱うことは――発表時に指摘されていたけれども――危険だろう。また、日本のシュルレアリスムの特徴のひとつとして、地平線(あるいは水平線)というキーワードが質疑において提出され、興味深く思った。確かにそういわれてみれば地平線は頻出する。時代は違えど卒論で取り上げたタイガー立石においても頻繁に画面に現れる。そういう観点を持ち込めば、たとえば植田正治とか新しい見方ができるかもしれない。
- 「人間天皇」の写真と表象−1946年1月1日新聞発表の天皇像
二本目の発表は北原恵先生によるもの。1946年の元旦に各新聞紙に載せられた天皇のイメージを初めとし、写真集「天皇-EMPEROR」等の戦後「人間・天皇」の肖像がいかに表象されてきたかというもの。戦前における天皇が国家の大元帥として、男性的に表象されてきたのが、戦後に入ると、女性的、父親として、研究者として、あるいは親米家として、民主主義者として、まさに七変化というべき姿で表象されていく。
個人的な課題としては日本写真史、あるいはその周辺のグラフィズム関係者の人的つながり等を含めて整理する必要がある。また、影山光洋の写真集に収められている「人間・天皇」の写真が、前掲書「天皇-EMPEROR」に収められていた。撮影者は影山なのだろうか。あるいはほかの写真家が撮影し、どこかに掲載されたものを影山編集の元写真集にまとめられたのだろうか。後者の場合、その他の写真に関しても一度洗いなおさないといけない。研究会後飲み会。毎度毎度のことだけれども、まるでオフ会だ。次回は是非このオフ会に参加してください>id:totomiさん。