今日見てきた映画。
- 『タイムライン』(2003:アメリカ:GAGA)
伏線をはりまくり、最期に決着をつける良くあるパターン。っていうかGAGAが配給するべくして配給された映画。中世になんやかんやで行くことになってしまった考古学者が修道院にヘルプミー!っと安易(状況が状況なんやしもっと書けばよいのに)なメッセージを書きおき、現代に於いていその修道院を発掘調査していたその息子と教え子達がメッセージを見て助けに行くけど行ったは良いがドタバタしてしまう話。伏線は多く貼られるもまったくもって伏せられていない。酷い。そもそも、過去から現代にタイムスリップした人がメッセージを送るという手法、どこかで見たと思えば、『クレヨンしんちゃん〜アッパレ戦国大合戦』だ。しかもクレしんの方が潔い。あと疑問に思ったのが、フランスの大将の妹さん、英語が話せなかったのにいきなり話し始めた、何事も無かったかのように。酷い。ただ見所はいくつかあって、まず男性人がどれも似たり寄ったりのキャラクター(フランソワという名の彼が比較的キャラ立ちしつつあったのにあっさり死亡)で二人しかいない女性陣も同じようなキャラ。でもこの二人は良い味出してる。この二人の女性は魅力的で辛うじてこの映画全体を通して救いになってる。あと、後述する『ラストサムライ』の予告編で、『ロードオブザリング』の三つ目と、『トロイ』の予告を見たのだけれど、そのどちらにも投石器のシーンがある。『タイムライン』におけるそれは、そのニ作品と比べるものすごく迫力があった。効果音も映像も派手派手で、全体はしょぼいもののこの戦闘シーンは劇場で見るべき。あと歴史者をロマン主義的にやるのって嫌いではないけど、もういい加減飽食気味でないかい?
- 『ラストサムライ』(2003:アメリカ:ワーナー)
前田有一さんが書いているように(http://movie.maeda-y.com/movie/00229.htm)この映画は世界で最も資本を使って映画を撮っている集団が、日本人万歳映画を撮ったわけだから、トム・クルーズと遜色なく渡辺謙や真田広之がカッコよく見えるのも、ハリウッドスタッフがそう撮っているからであって、今更彼らをことさらに持ち上げるのは映像マジックに乗せられていることを自ら白状しているに過ぎない。彼らはこれ以前にも多数の映画に出演していたわけなのだから。で、感想はえらい啓蒙的な映画だなぁ、という程度であって、話題性に反してことさら騒ぎ立てるほどの映画ではない。CGのクオリティも低いし青々とした丹念に手入れされた芝生は気持ち悪い。でも最も気持ち悪いのは、この映画の構造に有る。現在と過去との間、自文化と異文化の間にある、国家レベルの、あるいは個人レベルの確執が弁証法的にトム・クルーズという個を中心にぶつかり合ってドラマが生まれる。そしてそれが明治天皇に止揚する、というもの。これはもちろん現代を考える上でしばしば引き合いに出される日本の近代化における問題点なわけだけれども、それをアメリカ映画が行っていることが気持ち悪いのは僕だけなのかな。
帰りに買った『千年女優』のサントラが良かった。ラスト三曲のつながりは素晴らしい!