久しぶりの[cinema]の更新

今年初の映画館での映画鑑賞。作品は『Michel Vaillant(ミシェル・ヴァイヨン)』という漫画が原作のフランスの映画。
公式HP:http://mv-hero.jp/
配給はアスミックエース。アスミックエースが配給する映画とは相性が良い、というジンクスがあったりするので妙な期待を抱きつつ見に行った。ん〜今年一本目の映画がこれでよかった、と思える映画だった。

天才レーサー、ミシェル・ヴァイヨンは、ル・マンへ出場を決めた矢先、弟分のデヴィッドを事故で失ってしまう。デヴィッドのマシンは、宿敵、リーダー・チームにより細工されていた。証拠が掴めないまま、レースの開催が近づいた。デヴィッドの妻、ジュリーをチームに加え、着々と準備を進めるヴァイヨン・チームに不穏な知らせが届く。リーダー・チームが5年ぶりにル・マンに出場することになったのだ。父親からリーダーを受け継いだ娘、ルースは、ヴァイヨンへの復讐に燃えていた。

原作の漫画が現地でどの程度の知名度なのか知らないけど、ある筋によると「日本でいうところのサザエさん」ぐらいだそうだ。予告編を見る限り、この映画のストーリーはまったくといって良いほど説明されておらず、単に赤と青の車体が印象的なだけのいまいち魅力に欠けるものだったのだけれど、なるほど、ヨーロッパではこれで十分、実写で映画化するということが伝われば十分売りになるということなのだろう。逆に言えば日本での封切りにおいていまいち観客を惹きつける魅力にかけてしまうのは否めなく、お正月映画の中でもいまいちパッとしないのも仕方が無いかと。
内容のほうはまさに勧善懲悪。24時間耐久レース、ル・マンが舞台となればドラマも作りやすいわけで、二転三転と物語りはねじれていくけれどもそう目立ったものではなくむしろありふれたものかもしれない。しかし、レースシーンは見ごたえがある。むしろレースシーンのみを延々と見ていたい。色彩、形態、音響が絡み合い、スタイリッシュでありながらそれでいていやらしくない秀逸な映像に仕上がっている。実際のル・マンのレースに撮影スタッフが参加し24時間耐久という緊張感の中で撮影されている。そのハイテンションな現場の状況は映像にしっかり表れており、クレーンカメラを駆使したショットは見るに値する。また、青と赤に塗り分けられた車体は、そのシャープな動きを際立たせ、映像をより引き締まったものに仕上げている。マシュー・バーニーのクレマスター、そのクレマスター4(http://www.cremaster.net/crem4.htm)に見られるレースシーンを髣髴とさせる。