ヨハネス・イッテン

京都国立近代美術館にて開催されている「ヨハネス・イッテン −造形芸術への道」展を見に行く。ヨハネス・イッテンは1919年、ドイツはワイマールヴァルター・グロピウスによって解説された造形学校、バウハウスの初期時代を支えた人物として有名である。彼が担当したのは、独自の造形理論と色彩論を元にした美術教育の基礎である。今回の展覧会はこの美術教師といった側面を踏まえた上で、彼自身の作品を多く展示したもので、これだけの、イッテン自信の作品が日本で展示されるのは初めてのことだそうだ。

展示構成はなかなか工夫が施されていて、「色彩・形態」から始まって「コントラスト」等を経て(詳細忘却)最後は「色相・色彩」にいたる。即ち、イッテンが行った(プログラムした)美術教育課程を追体験できるという仕組みになっている。ここで興味深いのは初期のプログラムにおいては「色彩」と銘打たれてはいれども実際は黒一色で、その濃淡によってコントラスト、前景後景などの空間配置を表現したりするようになっている。なるほど、彼が日本の美術、特に水墨画に興味を持ったのも必然といえよう。また、技術面ではなく、描く際の精神的な動きのトレーニングと言えそうな「即興」もプログラムに組み込まれていた。その一連の展示構成から振り返った対面の壁には、イッテン自身の作品が並べられていた。イッテン自身の興味とプログラムとの関連を見ていくのはなかなか楽しかった。

美術教育のプログラムということで、芸大生らしき集団が多くいた。しかし、常々思っていることであるが個々のイメージ(作品)を展示全体の中で読み解き、展覧会を解釈するといった態度が根付いてはいないであろう現状で最も大事なのは、そのような展覧会が一つの意図によって構成されたものであるという認識なのではないだろうか。

バウハウス
http://www.felica.ac.jp/~asami/bauhaus_devotion/page/index.html