野島康三展(@京都国立近代美術館)

今日は学校に行く前に京都国立近代美術館へ。写真家としての野島康三を見せる一方で、画廊「兜屋畫堂」や自邸のサロンなどを通じて行ってきた同時代の作家たちの支援者としての彼の姿を見せようとする展覧会。特に中原悌二と富本憲吉との関係に焦点を当て、野島の仕事を多角的に示そうとした展示になっていた。とはいえ、彼の写真の変遷を見ていると、いわゆる「芸術写真の時代」のものと「新興写真の時代」のものを分けて展示していたけれども、実は構図の面や被写体の選択のレベルにおいてみていくと、それほど際立った際は見えてこない。むしろ、対比してみた時に際立つのは「芸術写真の時代」の写真がもつテクスチャーの在り方。クロースアップで撮影したものが多いため、写真のテクスチャーがそのまま被写体のテクスチャーとなって画面に表れているような印象を作り出しており、奇妙な生々しさを感じた。
美術史家の土田眞紀さんの講演会があって、それも聞いてきた。『富本憲吉模様集』を手がかりに、当時模様というもうものが、先行作例を参照するのではなく、作家自身がそれ自体のために描き出すものだという考え方があって、それは作られた「工芸」という範疇をリセットし、新たに自立したものとして確立しようとしたためだという趣旨の話。