露光研究発表会

9月2日〜4日に沖縄県立芸術大学で開催された露光研究発表会(f:id:champuru:20080821004106j)に参加するため沖縄行き。濃密すぎる三日間で、本当に充実した研究会でした。オーガナイザーの沖芸の皆様、本当にありがとうございました。
僕の発表は二日目の最後のセクション。これまで芸術的な写真という理解か、あるいはそこにコロニアルな眼差しを指摘するというが一般的だった東松照明のカラー写真に対し、今回の発表では以前の東松照明の仕事との類似を中心とした作品分析を通じて新たな様相を提示しようというもの。とかく、他者表象の枠組みに当てはめられがちな東松の写真に対して、そうした問題をすでに抱え込んだ写真家として東松を論じ、その対応を作品分析から読み解くことが課題だった。今回の反省点は、逆説的に意図論的な枠組みが顕在化してしまったこと。作者との距離の取り方の難しさを痛感。
一日目の午前中には、沖縄県立美術・博物館に行ってきた。昨年秋に開館したばかりの新しいミュージアムで、美術館と博物館がセットになっている。昨年の美術史学会で九博に行った時にも感じたのだけれど、視聴覚装置の使用が一般化している現在における展示の力は改めて考える必要があるように思う。
向かう途中でタクシーの運転手としばし雑談。ミュージアムがある新都心に対する気持ちとか今でも沖縄の地下には膨大な数の不発弾があるとか、そういう話を聞くと、沖縄における自分のポジショナリティとかをどうしても深く考え込んでしまう。ただし主体と他者を考える態度は必要である一方で、泥沼にはまってしまいがち。あまり生産的ではないような気がする。だからこそ、今回の発表では、「本土の写真家」対「沖縄の写真家」といった従来の枠組みは取らないようにした。何が正解か良くわからないけど。

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また、二日目の夜はビーチ・パーティー、三日目の午後にはエクスカーションで沖縄美ら海水族館へと研究以外にも盛りだくさんの研究会だった。また、九月の美学会で京都に来られる方はぜひよろしくお願いします。