オムレツは半熟で。

一昨日は告知していた第八回視聴覚文化研究会。『オクトーバー』の「視覚文化についてのアンケート」(1996)を端緒として、小さなシンポジウムという感じで進行していった。前半部では、アンケートに対する応答で指摘されている視覚文化研究に関する長所と短所を整理。詳しくは、秋吉氏が「クレーリー、ジェイ、ガニング - おつゆ日記」でわかりやすくまとめてくれているので、参照してください。今回、僕はマーティン・ジェイの応答を担当し、簡単にプレゼンしたのだけれども、今回扱った他の論者である、ガニング、クレーリーと比べると、美術史との関係性から視覚文化研究にアプローチしていた。もちろん視覚文化研究の広域な研究対象と方法論を鑑みればその射程は不十分である。それはプレゼンの際にも指摘したが、一方で自分自身がその領域に属しているわけで、自分に照らし合わせて、再確認をすることが出来たのは一つの収穫だった。
今回の僕の発表に際して配布したレジュメはアップしておきました。→【レジュメ.pdf
全体として考えると、今回は十年前に指摘された問題点を確認するに終わった。それを現在的な文脈の中で考えるところにいたらなかったのは残念。けれども、これは実際の個々人の研究において成されるべきことでもある。今回が研究のあり方を考える理論編ならば、普段の研究発表形式の研究会は個々人によるその実践編である。個々人の研究の精度を高めながら、質疑も含めて今回の研究会を生かし、理論編にフィードバックしていくこと。この繰り返しこそが必要。「○○研究会」というような、共通する対象を取り扱う研究会も一つのあり方だが、攻殻機動隊ではないけれど、STAND ALONE COMPLEXとして、「個人の複合体」としての研究会というのも、あり方の一つとして良いだろう。
反省点としては、会自体のお膳立てが不十分だったこと、また小規模であるにも関わらず初参加の方とのコンセンサスを看過してしまってたこと。そういうホスピタリティも必要ではある。