写真集の館

神戸は新開地在住の写真集コレクターの方のコレクションを拝見させていただく機会を頂き、お邪魔してきた。まさに宝の山。『写真よさようなら』とか『来たるべき言葉のために』はもちろん、川田喜久治の『地図』の初版本とか、Workshop写真学校発行の冊子とか、眼の保養。東松照明の写真集も一通りザーッと見せていただいた。『日本』『OKINAWA 沖縄 OKINAWA』『おお新宿!』『I AM A KING』『太陽の鉛筆』等等。今回の一番の収穫は、東松照明が立ち上げた出版社、写研が発行した雑誌『KEN』の第1号(1970年)を見せていただいたこと。本号は、「噫!万博」と銘打って、アンチ万博を訴えている。写真は東松照明。また執筆陣がそうそうたるもので、大島渚澁澤龍彦、多木浩次、野坂昭如木村恒久針生一郎、福島辰夫などなど。この時期東松の周りにいた人たちは、これまでの写真史写真論の言説では完全にこぼれ落ちているので、きっちり押さえておくべき。
で、肝心の東松の写真だけれど、これまでイメージしてきた東松とはまったく異なったものだった。戦前の新興写真を思わせるような大胆なモンタージュを施し、万博の人類の進歩と調和をこけおろしている。けれども、テクストを読む限り、東松の怒りの矛先は、万博のパビリオンにおける写真と映像の使われ方だったようだ。それがどういったものかは定かではないが、ちょっと本格的に調べてみようか。