愛知曼荼羅

六月二日に東松照明、愛知曼荼羅展(於:名古屋市美術館)に行ってきた。作品数が、東松照明の初期作品を中心に200点近くも出展されており、非常に見ごたえのある展覧会。後の講演会で話されていたが、約半数が未発表作品。基本的には時系列順に並んでいたのだが、いわゆる土門や木村の提唱した「リアリズム写真」的なものから、形態を意識したものへと写真家の意識が拡大していく様が良くわかる。
その後の講演会は、飯沢耕太郎氏と東松照明の対談。観客がどうやら、東松ファンと芸大の学生が多数を占めており、飯沢さんも最初に客席を見て方向を決めたようで、学術的な内容というよりは小話、昔話を織り交ぜた大衆的なもの。飯沢さんもいろいろ突っ込んだところに話を持っていこうと試みてはいたけれど、東松氏がうまくかわす。鼻をかむタイミングが絶妙。以前お電話させていただいたときにも感じたのだけれども、根本的なことは決して話そうとはしてくれず、小洒落たロジックではぐらかす。写真はウィンクだ、等々。あるいは、当時の出来事や被写体の話へとすりかえる。それでも色々新たな情報も得ることが出来たのでわざわざ足を運んだ甲斐はあった。ただ、東松氏は体調不良だったこともあり、講演会の前後に個人的に話をしたかったのだが、そんな隙は微塵も無かったのが残念。
また、何度か足を運ぶ予定。