彼女と私の事情

昨年の夏から疎遠になっていた友人を呼び出して、久しぶりに会う。誤解は正し、過ちは陳謝。仲直り。結構すんなり互いに打ち解けてかつての親密な関係が蘇ってくるのにそう時間はかからなかった。彼女もまた、バイトで知り合った一人。半年ぐらいでやめちゃったしあまり勤務でどうこうということも無かったのだけれども、むしろ彼女が辞めてから親しくなった。卒業旅行に一緒に行ったメンバーの一人でもある。互いの近況とか恋愛話とかで延々喋る。話すたびに思うのだけれども思考回路が互いに似通っていて、話をする上で彼女が提示してくれる案は、真否は別にして、すんなりと受け入れることが出来る。逆もまたしかり。もちろん逆説的に弱点も共有しているのだけれども、そこは互いに自覚的なのが少し笑える。自意識過剰気味な僕達。
仕事帰りの彼女の恋人も混じって三人でひとしきり。
バイトだとか学校だとか、そういった既存の枠組みの中で自然と構築される人間関係はある意味では楽だ。そういった枠組みを取っ払われたうえで、個と個のみが関係を維持するには、それなりの労力と精神力を必要とする。けれども、それを支払っても余りある時間を共有できる人間と出会えることは、それ自体が幸せなことなんだろうね。